台湾は道教のお寺が大変多く、祀られている神様も様々です。道教の古典的な神様達から、三国志演義に登場する関羽、土地神様に当たる土地公など、たくさんいますが、中でも最も人気のあるのが媽祖という女神です。福建省に起源を持つ、元々は航海、漁業の守り神で、福建省から台湾に渡った人が多かったため、祈る人が多かったとされています。
今は、海や水にとどまらず、生活のあらゆる場面で人々を守ってくれる神様とされていて、台湾には500以上の媽祖廟があるという事です。なので、同じような規模の廟を見学に行くと、圧倒的に参拝者が多いのが媽祖廟なのです。ちなみに台湾では、道教系のお寺は、「◯◯宮」という名前がついていて、仏教系の「寺」とは区別できます。ただし、廟の正式な名前に媽祖がついているとは限りません。新北市板橋区にある大きな媽祖廟の正式名称は「板橋慈惠宮」です。
媽祖信仰で興味深いのは、多くある媽祖廟のうち幾つかの大きな廟が毎年巡礼を行っているという事です。最も規模が大きいのは大甲媽祖遶境進香と呼ばれる巡礼で、台中市にある大甲鎮瀾宮という媽祖廟から媽祖を担いだ神輿が旧暦2月末に出発し、何と9日間に渡って各地の媽祖廟を周り、戻って来るというものです。
幾つものミッションを持つ隊列がすべて徒歩で練り歩きます。事前登録してこうした隊列に参加する信徒もいれば、沿道で見学する人も大勢いて、今年の参加人数は何と400万人だったそうです。9日間全部参加する熱心な信徒もいて、当然仕事は休んで参加するという事になります。
自分も見に行った事はなく、なかなか想像はできないのですが、参加者数や日程を知っただけでも、台湾人の媽祖に対する信仰の厚さは想像できます。アメリカのディスカバリーチャンネルから世界三大宗教行事の一つとして認定されたほか、ユネスコから「世界無形文化遺産」にも認定されています。
これだけの規模の行事を混乱なく行うだけでも大変なノウハウや苦労があるはずで、よほどの信仰の厚さがなければできないことです。しかも参加費用は無料(宿泊や食事は自前で用意)だというのですから、神輿や衣装、練り歩きにかかる諸々の費用はすべて企業や個人の寄付で賄われていると想像されます。https://taiwangods.moi.gov.tw/html/landscape_jp/1_0011.aspx?i=39
大甲の他、白沙屯拱天宮という苗栗市にある大きな廟も巡礼を行っています。こちらは巡礼ルートを媽祖様に占いを立てて決めるので、当日にならないと次にどこに行くか分からないそうです。宿泊も予約できないと思うのですが、それでも参加者は30万人以上だと言いますから、なかなか日本人には想像できないですね。


