「サピエンス全史」を周回遅れで読んでいます。著者(ユヴァル・ノア・ハラリ)の洞察力のすごさに目からウロコの連続で、今まで歴史の教科書で学ばされてきた内容は一体何だったんだと思わされます。
一番驚いたのはフランス革命が起きた要因の一つに、当時のルイ王朝が経済的に破綻していた事が背景にあるということです。記憶を遡ると、高校時代の教科書は、単に絶対王政と封建的特権に対するブルジョワジー、農民の不満の高まりが画期的な革命につながったというストーリーだったように思います。ネットで当時の教科書の扱いを調べても大体こんな感じです。
しかしこの本によると、18世紀半ばにアメリカに対するフランスの投資の失敗が引き金になったというのです。当時のアメリカはイギリスとフランスがそれぞれ植民地の権益を競っていて、フランスは南部のニューオーリンズを中心に貿易特権を持つ会社を設立し、ルイ14世の浪費などで破綻しつつあった財政を取り戻すために、その会社の株を上場して利益を上げようと考えました。
ところが投資と利益の実態が伴わなかったために株価は暴落して、尻拭いせざるを得なかった政府の債務は膨れ上がって行きました。これをミシシッピバブルと呼びます。ルイ15世、ルイ16世の時代に、赤字を埋めるために借金が雪だるま式に膨らんで国家財政が破綻し、それがフランス革命勃発の要因の一つになったということです。
自由、平等、博愛という理想を持ったフランス民衆の勇敢な蜂起によって起きた革命という今までのイメージとは随分違います。ネットで調べると、ハラリ氏のオリジナル説という訳ではなく今ではある程度共有化された知識のようですが、ちょっと驚きました。
高校時代、世界史の先生がフランス革命を礼賛する意味を込めて、革命を象徴する歌「ラ・マルセイエーズ」を教えて生徒に歌わせた事があります。今から考えればまさに教科書の記述に沿った授業だった訳ですが、当時は自分も嬉々として歌っていました。
結局は現実的で経済的な要因が大きな要因としてあるわけで、理想に燃えた民衆の蜂起が社会を変えたというようなイメージとは大きく違ってます。後年の日本赤軍のような行動も、革命を理想化する当時の歴史教育が少なからず影響しているのかもしれません。その意味で歴史教育は本当に大切ですね。
この本がすごいのは、タイトルの通り人間の歴史を通じてターニングポイントとなった幾つかの変化を、とても冷静で分かりやすい分析をしている所にあります。まだ途中ですがとても刺激的です!

