台湾にとってのTSMC

台湾の産業
A photo shows the first major factory of Taiwan Semiconductor Manufacturing Co. (TSMC) completed in Kikuyo Town,  Kumamoto Prefecture on Dec. 13, 2023. The Taiwan chip giant company will build the second factory in the prefecture. The factory opening ceremony will be held in February and be operated at the end of the next year.  ( The Yomiuri Shimbun via AP Images )
台湾の産業
台湾といえば半導体受託製造で世界トップのTSMC(台積電)の社名を思い浮かべる人も今や多いと思います。電子機器の性能を左右する半導体の微細化プロセスで日本はもちろん、後を追っていた韓国の三星電子も技術面で引き離しているという分析を目にした人も多いと思います。
 もし、TSMCの最先端半導体が無くなったら、世界的に大きな影響が出ると言われています。スマホなど民生機器はもちろん、ミサイルなど武器の性能も大きく左右するからです。ロシアでは先端半導体を入手できないためにウクライナ侵攻に一定のブレーキがかかっているという情報もあります。
 中国の台湾に対する武力による侵攻が特に日本では大きく取り上げられていて、米国がそれを許さない姿勢を強めつつあり、日本も周辺国と協力して台湾周辺地域を防衛する体制を整えつつあります。この背景には中国の軍事圧力を許さないという意思に加えて、TSMCの半導体供給に支障が出れば、多くの面で大きな影響が及ぶので、それを阻止するという意味もあります。
 今日ネットニューを見ていたら、競争力強化を担う国家発展委員会の劉鏡清委員長(TSMCの役員でもある)が日本メディアのインタビューを受けた記事を見つけました。見出しは、[日本の半導体製造企業が世界をリードするのは難しい]となっていますが、それは当然でラピダスがTSMCと同じ土俵で戦えるわけはありません。
 それより、製造装置(オランダASMLと日本が強み)や材料(日本が強み)企業と協力していく事の重要性を強調しているのが印象的でした。熊本工場で量産目前まできている以後の計画についても、冷徹に計算していると思いました。
 もう一つ感じたのは、シリコンプロセス以外の周辺分野にも強みを広げつつあるという事でした。設計についてはエヌビディアなど米国の専門企業に任せて自らは製造に徹していると思っていましたが、すでに世界シェアの19%を持っていると言っています。
 それが、アーキテクチャ部分まで含んでいるのかは分かりませんが、設計ファンクションのかなりの部分を取り込んでいるという印象を受けました。他に垂直方向の積層技術も最先端を行っているので、今の所独走態勢はますます強まっているように見えます。
 このように安全保障面でもプラスに働いているのは確かなので、台湾人のTSMCに対する関心も非常に高いです。株を買っている人も多いですし、報酬も高い事から大学生にとっては非常に人気の就職先の一つです。
 ただし、仕事環境は非常に厳しく、長時間ハイテンションでの働き方を要求されるというのも定評になっています。先学期の先生のお兄さんはTSMCに勤務していましたが、労働時間とプレッシャーに耐えかねて辞めたと言っていました。ただし、他で働いた後また戻ったそうで、総合的には魅力があると感じているようです。
 先学期のクラスメートだった日本人大学生も、インターンの応募でTSMC(熊本工場)に行ける事になったと喜んでいました。今後は日本との結びつきも色々なところで強まって来ると思うので目が離せません。
 ここまで書いていて、雑誌記者として記事を書いていた頃の意識や書き方に戻っているなあと感じました。台湾と日本の交流を深めるお手伝いができれば、今後もいろいろな形で発信していきたいと思っています。

A photo shows the first major factory of Taiwan Semiconductor Manufacturing Co. (TSMC) completed in Kikuyo Town,  Kumamoto Prefecture on Dec. 13, 2023. The Taiwan chip giant company will build the second factory in the prefecture. The factory opening ceremony will be held in February and be operated at the end of the next year.  ( The Yomiuri Shimbun via AP Images )