ヤバイ教科書と先生の遠慮なしの質問

台湾文化
台湾文化華語(台湾中国語)

今回は、師範大学語学センターの最近の授業の「ヤバさ」について書いてみます。今習っている教科書は、このセンターが編集した「當代中文」という教科書の5冊目なのですが、社会問題のしかもシリアスで重い話題をテーマにしているのがちょっとスゴイです。

 

闘牛など伝統文化への賛否、遺伝子組み換え食品への評価、死刑の是非など、シリアスなテーマが並んでいます。中でも、今勉強している第5課の「人工授精と代理出産」というテーマは、これを語学教科書の題材に選ぶんだ!と、最初はちょっと驚きました。

最初に提示される事例からしてビックリ。「男性の同性愛カップルが子供を欲しいと願い、母親がその希望を叶えるために(恐らく別の女性の卵子を借りて人工授精した後に)出産した」。「37歳の米国女性が最初の夫と4人の子供を産んだ後再婚し、現在の夫との子供が欲しいが自分では妊娠できなくなっていた。そこで18歳の実の娘が、母親と新しい夫との受精卵を受け入れたいと申し出た」。

授業では、女性の先生が顔色一つ変えずに、皆の国では法律上どうなっているの?こういった事例をどう思う?ハイあなた、などとどんどん質問してきます。他の学生の意見をどう思うかとも聞かれます。

当然、「このケースの場合性行為はあったのか?(つまり人工授精ではないのか)」、「精子や卵子を提供したのは誰なのか?」、「代理出産する側はお金目的だけど、それは自分は受け入れる」などの質問や意見がガンガン飛び交うことになります。

そもそもこういう話を聞いたことがないし、日本で代理出産が禁じられてるかどうかも調べないと分からなかったです(結果、法律ではなく産婦人科学会の見解として禁止ということになっています)。

こういう事を考えたことがないのはクラスメートも同じでしょうが、皆自分なりの意見を言おうとしています。自分も内容に戸惑ってる暇はありません。短時間で必死に自分の考えをまとめて、その上で中国語にして話すのはメッチャ難しいですがやるしかない!

こういうテーマを教科書に採用するというのは日本だったら考えられない。タブーとまでは言えないかもしれませんが、話すだけでも抵抗がありますよね。もう少し易しいレベルの教科書で勉強している日本人友達(女性)にこの話をしたら「エーッ!」とメチャクチャびっくりしていました。

実は台湾は日本以上に晩婚化、不婚化、少子化が進んでいるので、それに関するテーマも教科書によく出てきます。避妊に関するテーマの時にはコンドームの広告が教科書の挿絵になってたりします。その一方で子供ができない悩みもクローズアップされる事があり、主に外国人女性にお金を払って子供を作りたいという人も増えていて、それを真正面から取り上げているわけです。こういう所を見ると、日本だとセンシティブなセックスに関係する話題でも台湾ではタブー視はしてないんだなと分かります。

コロナの時にITを駆使した台湾の防疫システムが評価され、その立役者としてデジタル担当大臣に起用されたオードリー・タンさんをご存じの方もいると思いますが、彼はトランスジェンダーであることを公言しています。日本でそういう閣僚が任命されたら雑音がスゴイことになる可能性もあると思いますが、こちらではそんな事にはなりません。

日本人からすと敏感な社会問題でも当たり前のように取り上げて、外国の学生にも提示して議論させているのを見ると、懐の広さを感じます。そして、それに正面から答えることで、世界中から勉強に来ている学生達も刺激になっていると思います。